牡牛座

ー歩く速度
 歩く歩幅
 しゃべる速度
 しゃべるトーン
 全てに、僕だけのリズムがあるんだ。

太陽の温かさを染み込ませた草むらに寝転びながら
可愛らしい仔牛が、独自のリズムでお話しする。

風が吹くと、その風が肌に触れる感覚を味わい、
風にのってやってきた花の香りを、体の内側全体に満たし、味わう。

鳥のさえずりが聞こえと、その音だけを味わって、
美しい鳥の姿を目にやきつけるようにして味わう。

ーねえ、仔牛さん、どうして君はそんなに
 じっくりと物事を味わうことができるんだい?

仔牛は、ゆっくりとこちらに目を向けて

ーそれは「生きる」ことを楽しんでいるからだよ。
 目の前にあるものを”味わう”ことことで
 この世界には美しいものがたくさんあるのだと
 気付くことができるんだ。

世界にある美しさをを味わいながら、
仔牛はいつも「今」を生きている。

心満たされて、幸せそうに。


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